
「ネットワークスライシング」
という言葉をご存じでしょうか。
英単語にすると
- ネットワーク=network
- スライシング=slicing
で、ネットワークをスライス(切り分ける)するという意味になります。
と、いかにも知ってる風に書いてますが、私は全然知りませんでした(汗)
そんなわけで、ネットワークスライシングの意味や、WiMAXとは関係あるのか?について調べてみました。
目次
ネットワークスライシングってどんなもの?
ネットワークスライシングを一言で言うと、
限りある電波資源を効率的に配分することで、ユーザーのニーズを満たしつつネットワークインフラの負担を抑える目的で開発された技術
です。
これだけでは全然わかりませんね。
スマホの普及によって、電波を使うワイヤレス回線でやりとりされているデータ通信量は急激に増えています。
さらにWiMAXのようなモバイルルーター利用者も増え続けていて、多くの人が利用する夜間などの時間帯はすでにパンク状態と言えるでしょう。
通勤時間帯や、多くの人がネット接続する帰宅後のゴールデンタイムなど、回線が遅くてイライラした経験がある人も多いのでは?
この現状を改善するために生まれたのがネットワークスライシングという技術です。
次世代通信規格「5G」開始で起こりうるトラブル回避技術の1つ

現在インターネット関連業界で最もホットなワードといえば、何といっても「5G」の略称で知られる第5世代移動通信システムです。
第5世代移動通信システムの特徴は何といっても大容量データの高速化で、超高画質の映画をわずか数秒でダウンロードできるようになると言われています。
現代日本では子供から高齢者までほぼ全ての世代がインターネットの恩恵を受けているので、第5世代移動通信システムの登場は日常生活をより便利にしてくれる画期的な技術として歓迎されるべきものです。
しかし第5世代移動通信システムにも問題がない訳ではありません。
5Gにも問題点がある
ユーザー目線では回線料金の高騰などが懸念されていますが、プロバイダにとって気になるのが限られた電波資源で、ユーザーが期待するほどのサービスを提供可能なのかという点です。
私たち一般人は普段意識していませんが、無線通信というのは無制限に拡大可能な訳ではなく一定の範囲内でやりくりする必要があるもの。
ドコモ・au・ソフトバンク(ワイモバイル)やWiMAXなど回線を扱うサービスは、国から割り当てられた電波の範囲内でサービスを提供しています。
現在一般に普及している第4世代移動通信システム(4G)と比較して、第5世代移動通信システム(5G)ではネット上でやりとりされる通信量が桁違いに増える可能性が高くなります。
もし何の対策もしないまま普及が進んでしまうと、今以上に通信が混雑してしまうでしょう。
すると、本来期待されるほどのスピードが出なかったり、一部のユーザーの間で接続切れが多発するといった問題が発生しかねません。
こうした問題を解決するための方法の1つとして近年注目されているのが、ネットワークスライシングです。
ネットワークスライシングの意味・目的は?

スライシングとは「分割」を意味する英語なので、ネットワーク分割という意味になります。
これまでのインターネットサービスはユーザー側の目的や用途に関係なく、一律で同じサービスを提供してきました。
これはユーザーにとっては何の問題もないことですが、プロバイダーにとっては負担の大きなやり方です。
そこで今後はユーザーのニーズにあわせた方法でデータを送ることで、少しでも通信の負担を減らしていこうというのが分割の目的になります。
どんなときにネットワークスライシングが使われるの?

スライシングの具体例として分かりやすいのがゲームです。
応答性が求められる時は必要最低限の通信量に抑える
世界中の人々と協力プレイや対戦プレイを行うオンラインゲームでは、通信に遅延(ラグ)があるようではまともに遊べません。
とくに画面が常に更新されるリアルタイム性の高いゲームでは致命的です。
遅延が激しいと、攻撃していたはずのモンスターが急に別の場所にワープしていたり、回復をしたはずが間に合わなかったことになり死んでしまう、といった問題が多発してしまいます。
だからゲームの多人数で遊ぶマルチプレイに関するデータは、遅延を抑えることを一番に考えて通信します。
具体的には1回の通信量を抑えることで遅延を防ぐといったやり方が採用されるはずです。
必要最低限のデータを優先的にゲームを管理しているサーバーへ送信するわけですね。
大きなデータを送受信するときは通信量を増やす
その一方で、購入したゲームのデータをダウンロードする時は、通信遅延を意識する必要はありません。
この場合に求められるのは大容量のデータを出来るだけ早くダウンロード完了させることなので、1回の通信量は増大させます。
ネットワークスライシングは快適なネット環境維持のために必須です
このような、ユーザーの通信を分析してその都度最適な通信方式を提供するのは簡単なことではありません。
が、現在急速に進歩しているAI技術とクラウドサービスを組み合わせることで、問題は解決すると考えられています。
実現すればプロバイダーはネットワークインフラの負担を抑えることができるため、ユーザーの通信料金も高騰せずにすむかもしれません。
WiMAX回線でも利用される?

この便利な技術はWiMAXにおいても活用されるのでしょうか?
その答えは「将来的には活用される可能性が高い」となります。
あくまで可能性の段階ですが、すでに3000万回線以上普及している日本のインフラともいえるWiMAXサービス。
なにか別の技術が生み出されないなら、ネットワークスライシングの技術を使って通信量のコントロールは必要になっていくでしょう。
ネットワークスライシングは主に5Gが普及した社会での実用化を目標にしている技術です。
対してWiMAXは、現時点では1つ世代が古い4Gサービスしか提供していません。
でも技術の世代交代が起これば、かつて3Gから4Gへ提供サービスが移行したように、いずれWiMAXも5Gによるサービスが提供されるようになるはずです。
そしてその際はきっとネットワークスライシングの技術が活用されることでしょう。
というわけで、現時点のWiMAXにはいかされないと思いますが、5G対応状況しだいで、ということですね。
近い将来、私たちの社会では車の自動運転だけでなく、自宅の冷蔵庫や電子レンジといった家電用品までもがネットワークに接続し、ユーザーデータを活用することで、機能を最大限に活かそうとするようになります。
となると、1人の人間が使う通信量もますます増えていくことになるでしょう。
でも、ネットワークスライシングなどの新技術によって通信障害の問題を解決できれば、日常生活はより便利で快適なものになるはず。
既に日本人にとってインターネットは電気や水同様になくてはならないライフラインですし、一日も早い普及に期待しましょう。
まとめ
ネットワークスライシングについて紹介しました。
いまより回線速度が圧倒的に速く、データ通信量も大きくなる次世代通信技術「5G」での活用が期待されている、回線負担を軽減する技術のことでした。
もうすぐやってくる近未来の話なので、少しでも早く導入してもらいたいですね。